雑談

2013.03.01

お医者さんは、病気のすべてを知っているのか?

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先日紹介である患者さんが、来院されました。その患者さんは、小学生で、朝起きても体がだるくて、元気が出なくて、頭がボーッとして、起きるとふらふらするという症状でした。医者の立場からは、自律神経失調症状で、最近は、起立性調節障害という病名が付けられているようです。
この病名の元に、投薬を受け治療を受けても、1カ月たつのにまだ良くならないという不満で当院を受診されたようです。母親が一緒に来て、次々に質問をして、まるで子供のように、どうして治らないのか、と、医者である私を責めたてるのです。このような方が、教育現場では、モンスター・ペアレントと呼ばれているのでしょう。
薬を飲んでも、すぐに病気が治らないようなものが存在するという事をご存知ないようですし、ちょっと診察しただけで、病気がなんであるか判明し、何でもかんでも分かるという訳でもありません。実に非常識な親御さんだと思いました。
現代医学がこんなに発達しても、治らない病気が有るという事が分っていないようです。お医者さんに聞いたら何でも答えてくれて、病気もすぐに治ると考えておられるような方々でした。なぜ難しい病気が有り、色々な検査をして初めて病気が判明し、また激しい治療があるという不合理さを、ご理解いただけていないようです。
幸い、私のこのホーム・ページに子供たちの慢性疲労症候群という記事を載せてあることを申し上げて、お読みいただくように申し上げました。
ここで、何故難病と言われるような難しい病気が存在するのか?という事を少し考えてみましょう。
難病とは何か?簡単です。難しいというのは、原因や治療法が知られていない、または、受診したお医者さんが、専門外で知らなかったのどちらかです。一つ一つの病気をきちっと理解して、適切にお薬を出してくれて、何の問題も起こらずに、スッと病気が治るという事は、なかなかありません。経過観察が必要なのは、病気が、お医者さんが想定している物かどうかも含めて、病気を見極めるためにどうしても必要なものです。
まして、他のお医者さんにかかって治らないから、当方の医院に掛かるようになったのでしょう?なら、すぐに治るわけがありません。上の症例の場合は、かかったお医者さんが、分っていなかったという事になります。
漢方では、起立性低血圧や、自律神経失調症は、漢方の理屈で説明できて治療できる病気ですが、現代医学だけでは治療が難しく、治療成績も上がらない病気で、患者さんたちの主治医をされている小児科のお医者さんたちも認めているそうです。漢方が効くそうだという事で、その起立性低血圧や、自律神経失調症にたいして小建中湯だけを処方しているケースは、まずこのような、漢方に対する中途半端な知識で、病気を治療する「漢薬使い」と我々が軽蔑しているお医者さんたちのようです。このようなお医者さんにかかれば、いくら漢方薬を服用しても、病気は治らないでしょう。
もう一つは、病気の本体が分らないというケースです。
例えば、現在当院で苦労しているのは原因不明の脱毛症で、この問題は、膠原病が絡んでくるようです。SLEと呼ばれる膠原病があり、この病気の主要症状の一つが脱毛です。皮膚科でステロイド剤を処方されているケースは、ほとんどコレと考えてよいようです。膠原病でなくても、脱毛というだけでステロイド剤が投与されている場合は、ステロイドのためか、病気の本体が変質して分かりにくくなり、漢方の随証治療という原則に従った治療をしても、手こずるケースがほとんどで、最近では、私は、脱毛はいったんステロイドを使ってしまえば、不治になってしまうようで、治療は不可のようだ、と考えています。
このような場合、難病と呼ばれてる病気は、どう考えるとよいのでしょうか?難病は原因不明であり、従って、根治につながる適切な治療は不可能であるが、一応ステロイドは有効であるから、根治につながらないけれども、ステロイドでとりあえず治療する、といった、ごまかし(?)の治療?という事になるようです。
ここでも、ステロイドの、望ましくない使用がなされていることが、お分かり頂けたと思います。
以上の事から分かることは、医者の私でさえ、世の中には治らない難病がいかに多いかと溜め息をつく位で、まして、そのような難しい病気は、そう簡単には治りません。医者は神様ではありません。医者にかかったらすぐに治るなんて、そんな甘い考えは持たぬ方が良いと思います。
逆に言えば、たいていの場合、不適切な治療や、訳の分らぬ病名を付けられ、挙句の果ては精神科に回され、心の病にされることだってあるようです。つまり、どんどん奈落の底に突き落とされてしまいかねません。
まあ私は、難病と言われる病気に対しては、漢方でできる限りのことをしましょうと、いつも申し上げることにしています。これ以上は、医者に要求されても無理でしょう。
  • コメント(1
  • 08:23  

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コメント

1.投稿:廣田 功│2013.04.05  08:23

橋岡さん、
先日は2人で押しかけ、ご馳走にまでなって申し訳ありません。
お返しと言っては失礼ですが、連休中、拙宅にいらっしゃいませんか。上の娘もお会いしたいそうです。あなたは忙しくて無理なら、奥様だけでもいかがでしょ当方は連休中は出かける予定はありませんので、いつでも結構です。ただ、魚市場が4日~6日は休みなので、魚料理の点からは4日(土)が良いかもしれません。是非ご検討ください。
ところで、来週中、自家製のカラスミとトリュフ(チョコレート)を送ります。
チョコレートには少し暑くなりすぎかもしれませんが、未だぎりぎり大丈夫でしょう。
(コメントではなくてすみません)
廣田

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