東西医学の融合

2024年04月15日

コロナ後遺症外来の報告-その②

前回コロナの後遺症外来の報告をしましたが、その後の報告です。

 

多くの患者さんたちが困っておられて、一番印象に残っているのは、コロナによる疲労感が、なかなか取れないことです。コロナの後遺症とおっしゃっていますが、疲労が取れないという点は、私が見る限りでは、コロナにかかるよりもそれ以前から、慢性疲労が出現していると思われる事です。単純な疲労感は、簡単な処方で取り去ることができますが、深刻な場合は、疲労をもたらした邪(疲労の原因と成ったもの)との邪生闘争で、完全に打ち勝っていないため、邪が我々の体の中に、さらに深く侵入し、漢方でいうところの、「肝」や「腎」まで侵入されてしまっていることで、分かります。「肝」や「腎」まで侵入されてしまっては、簡単に邪を取り除くことができませんが、多くの患者さんたちは、それほど深刻なものとは、思っておられないようです。当方のコロナ外来が行われるのを聞いて、受診されて、初めの2,3回の処方で、ちょっと良くなっただけで、慢性疲労が治ってしまったと、勘違いされてしまった方々が、多かったように思われます。

 

残念ながら、そのようなことは、ありえません。慢性疲労と呼ばれているわけは、簡単には治癒しない病だからです。おそらくそのような方々は、せっかく受診したのに、まだ治っていないと思われているのではないでしょうか。もっと根気よくお薬を飲まなければ…。

 

病邪が、正邪闘争に打ち勝って体の奥に入り込み、簡単には治らなくなるというのが、伏邪の特徴です。これを直してゆくには、時間と、病邪に対する慧眼を、必要とします。幸いに漢方は、長年にわたる経験の蓄積で、何とか克服ができるようになっています。しかしながら、お薬を飲まないでは、治せません。- – まあ、当然といえば、当然ですが…。

 

もう一つ、コロナによると思われる後遺症で、見落とされていることがあります。それは、C.T.や、M.R.I.では検出されない、微小血栓が脳に発生して、神経学的異常所見を発生し、これを、医者が、血栓症によると考えなかったり、分からない場合があるということです。特に、患者さんが、年寄りに多いが、若い人でも起こりうることです。高血圧や、糖尿病などの基礎疾患がなくても、コロナにかかると、起こると考えたほうが良いでしょう。私の経験では、「こんなことが、血栓症で起こるとは!」ということが、起こります。例えば、コロナから回復して、1~2週間して、突然しんどくなったり、歩いていて、足がもつれて倒れることなどです。これらは、医者にかかり、抗血栓療法で回復されて、「ああ!血栓症だったのだ!」と、後で判るのです。

 

今回はここまでとしましょう。

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