東西医学の融合

2023年04月10日

コロナ後遺症外来の報告-その①

―― のどの痛み、咳、疲労感、嗅覚障害、など ――

ホーム・ページに、コロナ後遺症外来を開設する旨の文章を載せたところ、さっそく来院された方々についての報告です。

1.当方の元々の経験は、慢性疲労症候群が基になっていることから、元気が出ないなどの訴えを、おっしゃる方々が多くおられます。

これらの患者さんを診察させていただくと、コロナ罹患がきっかけとなり、コロナが、治癒したのちに、ひどい体調不良が出現しているようです。コロナを特徴づける咳や、頭痛、発熱などの症状がなく、元気が出ないようです。

漢方上は、これらの患者さんたちは、オケツや、痰飲などの所見があり、気虚の症状が強く出ています。

通経の治療をしながら補気をとりあえずおこなって、様子を見ています。そのうちに、奥に隠れている、伏邪が顔を見せてくるものと考えられます。

漢方は、わずかに顔を見せた伏邪を、漢方を使って克服します。これが治療の原則で隋症治療と呼ばれています。

考えてみれば、これは当然で、伏邪の治療は、ひと手間余分に掛かるといえます。

さらに邪が奥に隠れていることから、この邪はコロナ罹患よりだいぶ以前に侵入したとみられ、取り除くのに時間がかかっています。

2.もとに帰って、コロナの症状が残って、のどの痛み~のどの違和感や、咳(軽い)が、なかなか治らないという方々も多く、これらのケースは、コロナのウイルスが、持続感染していると考えられ、コロナの治療をすれば、2週間ほどで、ほとんど治療が終了できました。

3.今回臭いが分からないという、嗅覚障害を訴えられていた方が2例あり、2例とも、割と短時間で回復されています。2名とものどの痛みと、咳が取れないというコロナウイルスの持続感染と考えられるケースでした。2人は親子で、母と息子で、息子さんは、母からうつされたようで、2週間ほどずれがあり、息子さんは、のどと、咳を訴えるだけでなく、臭いも、だいぶ判らなくなっていたけれども、のどの痛みの消失と、咳の消失とともに、嗅覚も、元に戻ったとのことでした。母も、嗅覚の消失があったのですが、コロナの喉と咳の症状がなくなっても、臭いの回復はありませんでした。

そこで、漢方治療を更に2週間続けたところ、だいぶ匂いが回復したとのことです。現在も、治療を続けておられます。

4.その他

頭痛、めまい、ブレイン・フォッグなどの頭部の症状についてですが、コロナの感染が広がって、出現しましたが、ワクチンを受けたのちに出た方もおられました。このような患者さんでは、コロナに対する免疫反応で、抗体ができ、この抗体とウイルスがくっついた、免疫複合体が、血栓を作り、細い血管に詰まることによる塞栓と考えられます。CTやMRIでは、小さいため検出されなかったもので、血栓症の治療をすれば、すぐに良くなっています。

味覚障害は、ざんねんながら、患者さんがまだ来院されず、未経験です。

とりあえず、今回は、これまで。

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