病気の解説

2011年06月02日

病気の正しい治し方について-その1

病気の正しい治し方なんて、おかしいと感じられるかもしれません。治ればそれは正しい治療をしたことになると、お考えになるかもしれません。しかしそれは違うのです。科学が発達して、適当に治療することも可能になってきた為に、「ごまかしの治療」とでも呼べる医療が蔓延しています。アトピーに対するステロイド軟膏や免疫抑制剤軟膏(プロトピック軟膏など)の治療などがそれですし、喘息に対するステロイド吸入療法なども、このような治療といえます。
 病気になった時に、どこまで治療すれば、完全に治癒したことになるのかを、考えてみましょう。たとえば、風邪。インフルエンザウイルスなり、その他の風邪ウイルスが体に侵入して風邪を発病したとします。お医者さんに行ったり、ドラッグストアでお薬を買ったりして、お薬を飲んで、自覚症状が無くなれば治ったといえるのでしょうか?漢方医学が教えるのは、この段階での治癒と考えることは、半分正しく、半分正しくないという事です。その理由を考えることが、この小論の目的でもあります。もう一つ、腰痛症や、リュウマチ等の場合はどうでしょうか?自覚症状が無くなれば治ったといえるでしょうか?痛みが無くなったからと言って、腰痛症やリュウマチが治ったと考えるのは、あわて者の人だけだと私は考えます。これは、病気が軽快したと考えるのが正しく、根本は、普通は、治癒していないと考えるのが正しいでしょう。では、この違いはどこから出てくるのでしょうか?
 上記の問題は、病気が急性のものか、慢性の疾患の症状か、また、外因性の病気か、内因性の病気か?という事で発生していると、思われます。風邪による高熱は、体に侵入した風邪のウイルスが体内から放出されれば解熱し、咽喉の痛みも、粘膜の損傷が修復されると取れます。原因ウイルスの排除と、傷んだ組織の修復が必要です。それでは、これだけなのでしょうか?— イエイエ、まったくN o. だと言わねばなりません。ウイルスが排除されるのは、生体の免疫が働いて初めて可能となるので、この免疫システムが、風邪をひくことにより亢進して風邪のウイルスと戦うわけで、これが亢進した免疫状態から正常な状態に戻って、初めて完治したといえます。このようなプロセスを、昔の人たちは、「病後の養生(余熱未清;よねつみせい)」という事で捉えていました。この養生が必要なのは、風邪を引いた後から、別の病気が(風邪からくる病気のことも、それ以外の原因の病気の場合も)発生する事がよくあるからで、養生という事がとても大事だという事がわかります。
 たとえばよく知られている病気として、不整脈などがそれです。昔から風邪を引いた後に、不整脈が発生する事が知られていました。この不整脈は、漢方上は、治癒過程で清められなかった「風邪の余熱」が、残って行き場を失ったために、変成して、心臓に伝わり不整脈になると説明されています。ですから、このような不整脈は、漢方薬で治すことができます。
 従って、風邪という急性疾患が治癒してゆくプロセスでは、病後の養生を経て、初めて治癒したといえます。
もし、病後の養生をおこたり、二次性の病気が引き起こされたら、これらの二次性の病気などは現代医学でもよくわかっていないため、とても難治の病気となります。このようにして、慢性の疾患が生み出されます。この慢性の疾患の治療は、どうすればよいかという問題は、また槁を改めて論じます。

ページの最上部へ戻る